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本ブログは、医療空間における権力構造や、そこに生じる心理的な嫌悪感・ざわつき等を分析・考察するものです。特定の医療機関や従事者を非難・攻撃するつもりはありませんが、記事の性質上、医療現場の生々しい実態や直接的な表現が含まれる場合があります。ご自身の心身の状況に合わせて、無理のない範囲で閲覧をご判断ください。詳しくはサイトポリシーをご一読ください。
こんにちは、御簾納です。
引き続き、待合室の視覚的なデザインについての考察です。
「レディースクリニック」と銘打たれた施設のウェブサイトや実際の待合室を見たとき、誰もが感じる強烈な共通点があります。空間全体を支配する、アグレッシブなまでのパステルカラーです。
ピンクや淡いオレンジを基調とした壁紙、花柄のモチーフ、丸みを帯びたふかふかのソファ。
私には、その裏側にいる設計者(おそらくおじさんたち)の、「女性の患者さんばかりだから、ピンク色にしておけば安心するだろう」という、ステレオタイプな思い込みが透けて見えてしまいます。
しかし、この過剰にファンシーな待合室のドアを一枚隔てた先には、冷徹なモーター音を響かせる電動内診台や、金属製のクスコ(膣鏡)、患部を容赦なく照らし出す無影灯という「究極の無機質さ」が待ち受けています。
空間社会学的な視点で言えば、あのパステルカラーは、女性を癒すためというよりも、「これからこの奥で行われる医療行為の生々しさ(暴力性)を、どうにかして中和し、隠蔽したい」という、施設側の強烈なカモフラージュなのです。
そして、その生々しい診察室での時間を終え、衣服を着た直後に患者が向かうのが、クリニックの奥にひっそりと設けられた「パウダールーム(化粧室)」です。
もしここの鏡が、蛍光灯のような冷たく青白い光で照らされていたら、疲労し血の気を失った自分の姿が映し出され、ダメージを二重に突きつけられてしまいます。
だからこそ、優れたクリニックでは、ここにあえて「顔に影を作らず、血色を良く見せる温かみのある魔法のライティング」を施します。鏡の前に立った瞬間、「あ、私、意外と大丈夫だ」と錯覚させるような優しい光の捏造です。
Sさんに「私たちがどれだけ消耗してあそこを出てくるか、男の人には一生わからないわよ」と呆れられたことを思い出します。
なぜ女性たちは、そこまでして「婦人科で消耗した事実」を消し去らなければならないのでしょうか。それは、クリニックを一歩出れば、そこは女性特有の病や身体の事情をタブーとして扱う世間の目が光る戦場だからです。だからこそ女性たちは、パウダールームという小さな防空壕の中で、優しい照明の魔法にすがりながら、必死に「何もなかったような顔」を作るためのメイク(武装)を直さなければならない。
男たちが頭の中で作り上げたピンク色の理想郷と、その中で必死に尊厳の防衛戦を繰り広げている女性たち。空間のデザイン一つをとっても、本当に皮肉なものだなと思います。
それでは、また気が向いた時に。


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