メディアと表象

【No.086】白い巨塔の底に流れる泥水 —— 原作小説が描いた「溝浚え」の衝撃

こんにちは、御簾納です。先日、本棚の奥から山崎豊子さんの『白い巨塔』を引っ張り出して、久しぶりに読み返しました。言わずと知れた、日本の医療小説の最高峰です。浪速大学の第一外科の教授の椅子をめぐって、男たちが金と派閥と根回しで殴り合い、後半は...
社会とジェンダー

【No.085】産婦人科医の息子の憂鬱 —— 下世話な論争と「ご近所さん」の壁

こんにちは、御簾納です。今回は、密室の中の話から少し視点を広げて、その密室の主(あるじ)となる男たち——すなわち「男性の産婦人科医」たちのキャリアにまつわる、ちょっとした悲哀について書いてみようと思います。医学部に入学した学生たちは、やがて...
メディアと表象

【No.084】牙を剥く禁足地 —— 映画『Teeth』が描く究極の「内診台リベンジ」

こんにちは、御簾納です。今回は、ふと見返した映画のワンシーンから。2007年のアメリカのホラー・コメディ映画『Teeth(邦題:女性鬼)』のお話です。普段このブログで映画を取り上げる際は、日本題をメインにして原題を括弧書きにしているのですが...
社会とジェンダー

【No.083】密室のバグと網タイツ —— ガーターベルトが破壊した「医療空間の前提」

こんにちは、御簾納です。ネットの掲示板や、知り合いの医療関係者から漏れ聞こえてくる「現場のリアルな声」を集めていると、時折、空間社会学の定説を完全にバグらせるような斜め上のエピソードに出くわすことがあります。今回はそんなお話です。これは、あ...
空間と装置

【No.082】検索窓の都市伝説 —— 密室に響く「グリグリ」の正体

こんにちは、御簾納です。大変ご無沙汰しております。前回の【No.081】で「ノートの切れ端も最後の1ページになった」とお伝えした通り、過去の研究ノートのストックは本当に全部吐き出し切ってしまいました。なので、私としてはあのままフェードアウト...
社会とジェンダー

【No.081】制服の少女と得体の知れない怪物 —— 思春期外来の孤立

こんにちは、御簾納です。埃を被っていた私の研究ノートの切れ端も、いよいよ最後の一ページとなりました。締めくくりとして、今回は思春期外来という、極めて特殊でデリケートな空間について考えてみたいと思います。これまで私は、大人の女性にとっての婦人...
メディアと表象

【No.080】カメラが座った場所 —— 映画『あのこと』について

こんにちは、御簾納です。今日は映画の話です。フランス映画『あのこと』(原題 L'Événement、2021年)。1960年代、中絶が違法だったフランスが舞台です。貧しい労働者階級の家に生まれ、知性と努力で大学に進んだアンヌという学生が、試...
空間と装置

【No.079】『清潔感』という名の冷たさ —— 私が許せるのはベージュだけらしい

こんにちは、御簾納です。クリニックを歩いていると、ある一つの色の支配力に驚かされます。白です。壁、床、家具、それにスタッフの衣類まで、日本の医療空間では白が「清潔」「無菌」「誠実」の象徴として、ほとんど強迫観念のように使われています。ノート...
空間と装置

【No.078】フードコートの呼び出しベル —— 名前を呼ばないための、ずいぶんな回り道

こんにちは、御簾納です。婦人科の待合室で、患者をフルネームで大声で呼ぶことは、今では最大のタブーとされています。そのため番号札とモニターの組み合わせが一般的なのですが、近年、なかなかユニークな呼び出しシステムが導入され始めているようです。フ...
社会とジェンダー

【No.077】耳掃除との決定的な断絶 —— 大人の女性が「拭き方」を教わる理由

こんにちは、御簾納です。ネットの医療コラムを読んでいると、「おしっこをした後の拭き方」や「お風呂での正しい洗い方」が、大人の女性に向けて極めて真面目に指導されているのをよく見かけます。前から後ろへ拭きましょう。石鹸でごしごし洗ってはいけませ...